水道水に含まれるPFASが、地域によって検出状況に差があるという最新データをもとに、健康リスクと自治体別の実態をわかりやすく解説します。
くわえて、PFASが消えない理由についても解説していくので、参考にしてみてください。

1.PFAS(ピーファス)とは?水道水に含まれる理由
PFAS(ピーファス)は、はっ水・耐熱性に優れた人工化学物質で、日用品や工業製品に広く使われています。
多く利用された結果として環境中に残留し、水道水への混入が問題視されているようです。
1.PFAS(ピーファス)とは?水道水に含まれる理由
PFAS(ピーファス)は、はっ水・耐熱性に優れた人工化学物質で、日用品や工業製品に広く使われています。
多く利用された結果として環境中に残留し、水道水への混入が問題視されているようです。
1-1.PFASの正式名称と特徴
PFASの正式名称は「Per-and Polyfluoroalkyl Substances(ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)」です。
炭素とフッ素の強固な結合を持つため、耐熱性・耐薬品性・はっ水性・はつ油性に優れ、フライパンのコーティング剤や防水加工製品、消火剤などに使用されています。
自然界で分解されにくく「永遠の化学物質(フォーエバーケミカル)」とも呼ばれ、環境汚染や人体への蓄積が懸念されているのが現状です。
1-2.PFASは日常生活のどこで使われてきた?
PFASはその優れた耐熱性・はっ水性・はつ油性から、私たちの日常生活のさまざまな製品に利用されてきました。
具体的には、フライパンの焦げ付き防止コーティング、防水・防汚加工された衣類やカーペット、食品包装紙、化粧品、消火用フォームなどに使われています。
便利な素材として普及した一方で、使用後に環境中へ流出しやすく、長期間分解されないことから水質汚染や健康への影響が問題視されているようです。
1-3.なぜ水道水にPFASが混入するのか?
水道水にPFASが混入する主な原因は、工場排水や土壌への浸透による環境汚染です。
PFASははっ水・耐熱加工をおこなう工場や消火剤を使用する施設などから排水として放出されることがあります。
これらの排水に含まれるPFASは、下水処理場でも分解されにくいため、河川や地下水へと流出してしまうことが多いです。
また、製造・使用・廃棄の過程でPFASを含む物質が土壌に染み込み、地下水を汚染するケースもあります。
こうして汚染された河川水や地下水が水道水の水源として利用されることで、最終的に家庭の蛇口からもPFASが検出される場合があるのです。
2.日本のPFAS基準値とは?国際比較で見る安全性の基準
健康リスクが懸念されるPFASですが、日本のPFAS基準値とはどの程度なのでしょうか。
国際比較で見る安全性の基準について解説していくので、参考にしてみてください。
2-1.日本の暫定目標値は「50ng/L」
日本では、PFASのうちでとくに有害性が高いとされるPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)とPFOA(ペルフルオロオクタン酸)について、水道水中の濃度を「50ng/L」以下に抑えるよう、厚生労働省が暫定目標値を定めています。
この値は、現時点で入手可能な科学的知見をもとに健康影響を考慮して設定された指標であり、法的な基準ではないものの、水道事業者や自治体にとって重要な管理目安です。
今後、研究の進展や国際的な動向を踏まえ、見直しがおこなわれる可能性もあります。
2-2.アメリカ・EU・WHOとの基準値比較
アメリカやEU、WHOでは、日本よりも厳しいPFAS基準値が設定されています。
アメリカ環境保護庁(EPA)は2023年にPFOSとPFOAの基準をそれぞれ4ナノグラム毎リットル(ng/L)に引き下げ、実質的に検出限界レベルの水準です。
EUでも4種のPFASの合計値として100ng/L以下を目安に規制が進められています。
一方、WHOは暫定的にPFOSとPFOAがそれぞれ飲料水1リットルあたり100ナノグラム(ng/L)という数値で提案しているのが現状です。
このように国際的には基準の幅がありますが、全体としてPFASへの規制強化が世界的な潮流となっています。
3.日本の水道水からPFASはどれくらい検出されている?

近年、日本各地の水道水からPFASが検出されており、その濃度には地域差があります。
環境省や自治体の調査によると、全国の一部地域でPFOSやPFOAが国の暫定目標値(合計50ng/L)を超過するケースも確認されているようです。
とくに工業地帯や自衛隊基地周辺では濃度が高い傾向が見られ、住民の健康への影響が懸念されています。
こうした背景から、各自治体では水質検査の強化や浄水処理の見直しを余儀なくされているのが現状です。
実際に、日本の水道水からPFASはどれくらい検出されるのか詳しく解説します。
3-1.都道府県別・地域別のPFAS検出事例
環境省が2022年度に実施した調査によると、全国38都道府県・1258地点のうち、16都府県の111地点でPFOSとPFOAの合計濃度が暫定目標値(1リットルあたり50ナノグラム)を超過していました。
対象地域は山形、茨城、埼玉、千葉、東京、神奈川、福井、愛知、三重、京都、大阪、兵庫、奈良、熊本、大分、沖縄の16府県です。
なかでも大阪府摂津市の地下水では、1リットルあたり2万1000ナノグラムという極めて高濃度(基準値の約420倍)が確認されました。
この環境省の公式調査に加え、自治体や市民団体による独自の検査でもPFASの検出が報告されています。
たとえば日本水道協会の2021年度調査では、三重県桑名市や岡山県吉備中央町で一時的に基準値を上回る数値が記録されました。
また、工場地帯や廃棄物処理場、さらに青森県・沖縄県の米軍基地周辺では高濃度のPFASが検出される傾向があり、地域住民から健康リスクへの懸念や対策を求める声が高まっています。
3-2.水源別のリスクを比較(河川水・地下水・ダム湖)
PFAS(ピーファス)は自然界でほとんど分解されず、いったん環境中に放出されると長期間にわたって残留します。
そのため、水道水の水源となる河川水・地下水・ダム湖のいずれにも混入する可能性がありますが、水源の性質や周辺環境によってリスクの現れ方が異なるのが特徴です。
河川は上流から下流へと連続的に流れるため、工場や基地など特定の排出源から放出されたPFASが、広範囲に拡散しやすい特徴があります。
とくに、はっ水加工や半導体製造などPFASを使用する工業地帯を流れる河川では、下流域で濃度が上昇する傾向が強いです。
また、河川水は多くの自治体で水道水の主な水源となっているため、汚染が検出された場合の影響範囲が広い可能性があります。
浄水処理によってある程度の除去は可能ですが、活性炭処理やイオン交換樹脂などの高度な浄水設備が必要であり、設備更新や維持費用の負担が課題です。
とくに都市部では流域に複数の排出源が存在するケースも多く、汚染源の特定や対策が難航する場合があります。
地下水は一見、地表から隔離された安全な水源のように思われがちですが、実際にはPFASの長期残留が深刻な問題のひとつです。
PFASは土壌に吸着しにくく、雨水などとともに地中へと浸透して地下水層に到達します。
いったん地下水に入り込むと、分解されにくいため数十年単位で残留し続けるケースもあり、実際、環境省の調査では大阪府摂津市の地下水から1リットルあたり2万1000ナノグラムという極めて高濃度のPFASが検出されました。
これは、過去の工場排水や消火剤使用の影響が長期にわたって蓄積した結果とみられています。
地下水は地域によっては水道水や農業用水、井戸水として直接利用されているため、汚染が確認された場合、住民の生活や健康に直結するリスクが高いのが特徴です。
また、地下水汚染は表面から目視できず、拡散範囲の特定にも時間がかかるため、早期の発見と対策が難しい点も問題視されています。
ダム湖は河川水を貯留する構造上、流入したPFASが滞留・沈殿しやすく、時間の経過とともに濃縮する傾向が強いです。
河川から流入したPFASが底泥や有機物に付着し、再浮上・再溶出することで水質が変動する場合もあります。
とくに、長期間貯水するダムでは、流入源の特定が難しく、上流域の排出実態が不明なまま汚染が進行することもあるでしょう。
また、ダム湖は多くの場合、複数の自治体や地域の飲料水源を兼ねているため、汚染が確認された場合の影響範囲は広大です。
浄水処理による除去は可能ですが、ダム全体の水を短期間で入れ替えることは現実的ではないため、長期的なモニタリングと堆積物対策が求められます。
4.「沸騰させれば大丈夫」は誤解?PFASが消えない理由とは
水道水は煮沸すれば大丈夫と考えている人もいるようですが、実際はどうなのでしょうか。
PFASは非常に安定した化学構造を持ち、熱や光では分解されにくい物質です。
実際に、PFASが含まれている水道水を煮沸すれば問題ないのか、詳しく解説します。
4-1.煮沸ではPFASは除去できない
PFASは炭素とフッ素の強固な結合を持つため、非常に安定した化学物質です。
このため、水を煮沸しても化学構造が変化せず、PFASを分解・除去することはできません。
一般的な浄水器や煮沸消毒の方法ではPFASを取り除けないため、除去には活性炭フィルターや逆浸透(RO)膜といった専用の浄水技術が必要です。
家庭でおこなえる対策としては、PFAS対応の浄水器を選ぶといった方法が有効といえるでしょう。
4-2.逆に濃縮される可能性も
PFASは揮発性が極めて低く、水を加熱しても蒸発しない性質を持っています。
そのため、水を沸騰させて一部が蒸発すると、PFAS自体は液体中に残り続け、結果的に水分量の減少により濃度が高まってしまうかもしれません。
これは、味噌汁やスープを煮詰めたときに塩分が濃くなるのと同じ原理です。
とくに、繰り返し煮沸したり、蒸発による濃縮が進んだりする環境では、PFASの相対濃度が上昇するため注意しましょう。
除去を目的とする場合は、煮沸ではなく専用の浄水技術を利用することが推奨されます。
【PFASを除去できるのは】
シルフラーレのキッチンビルド浄水器で、毎日飲むお水も安心できるものに
5.まとめ
日本各地で水道水からPFASが検出されており、地域によっては国の暫定目標値を超えるケースも確認されています。
PFASは熱や光で分解されにくく、煮沸では除去できないため、長期的な健康リスクが懸念されるでしょう。
今後は、河川・地下水・ダムなど水源ごとの監視強化と、PFAS対応の浄水技術の導入、排出源対策の徹底が不可欠です。
安全な水を守るには、国・自治体・住民の連携が求められます。
