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自宅でも簡単「純水の作り方」用途や保管方法・注意点も解説

COLUMN

2025.05.12

自宅でも簡単「純水の作り方」用途や保管方法・注意点も解説

純水は飲料水としてはもちろん、美容や掃除、ペットの飲み水など幅広い用途で活用できます。

本記事では、純水の作り方や活用例、保管時の注意点を詳しく解説します。

簡単な手順で純水を取り入れ、日常生活の質を向上させましょう。

「純水」とは何か?

純水の定義と特徴について

純水とは、水に溶解している塩類、有機物、微生物などの不純物を取り除いた非常に高純度な水のことを指します。

不純物の含有量を砂糖に例えると、50mプール内に角砂糖1つ分の不純物がある程度のものです。
正確さと精度が求められる用途に適しており、実験や製造過程で使用されています。

不純物を取り除く方法によって、下記のように呼ばれることもあります。

純水は電気伝導度が非常に低いことが特徴です。
一般的に電気抵抗率は0.1〜1.5MΩ・cmで、電気をほとんど通しません。
電気抵抗率が高いほど純水の純度が高いとされます。

また「超純水」と呼ばれる水も存在し、純水より高い純度の水です。
超純水は、限りなくH2Oに近い水であり、理論上の電気抵抗率は18.24MΩ・cmになります。

不純物の含有量で例えると、東京ドームに角砂糖1個分と、不純物を限りなく0に近づけているのも特徴です。

主に半導体製造やバイオ医療など、微細なレベルでの汚染物質の影響を排除する必要がある分野で使用されます。

精製水や蒸留水との違い

純水、精製水、蒸留水は、どれも高純度な水です。
純水と精製水の違いに決まった定義はありませんが、精製水と蒸留水には製法や純度の違いがあります。

純水精製水蒸留水
製法決まった製法は特になし(不純物を含まない水の総称)原水を蒸留やろ過、イオン交換、逆浸透などの方法を用いて精製処理する蒸留器によって精製する(水と不純物の沸点の違いを利用)
純度高い高い極めて高い

すべてが異なるというよりも、純水という大きなカテゴリの中に精製水が存在し、精製水の中に蒸留水があるというイメージをすると良いでしょう。

純水は何に使う?用途を解説

純水は日常生活や社会の中でどのように使われているのでしょうか。
詳しく紹介します。

純水の「家庭内」での利用例

純水は日常生活での使用にも適しています。

たとえば、アイロンのスチーム機能を利用したい場合は純水の利用が便利です。
純水にはカルシウムやマグネシウムなどのミネラル分が含まれていないため、スチーム孔が目詰まりするリスクを大幅に減らすことができます。

アイロンが長持ちし、メンテナンスの手間も軽減されるでしょう。
純水を使用することで、アイロンのスチーム機能が安定するため、衣類の仕上がりも向上します。

また、加湿器の使用において純水を使用することも非常におすすめです。
通常の水道水を加湿器に使用すると、水中の塩素が空気中に放出される可能性があります。
特に小さな子どもやペットがいる家庭では、空気の品質を高めるために純水を使用すると良いでしょう。

さらに、ミネラル成分が加湿器内に残留することがあります。
カルシウムやその他の鉱物の残留物が含まれているため、加湿器内部に白い粉のようなものが付着することも考えられます。
加湿器のメンテナンスや清掃を楽にするためにも、純水を使うことで、この白い粉の発生を防ぐことが重要です。

他にも、純水は観葉植物の水やりや精密機器の清掃や洗浄に利用できます。
純水を使うことで植物や精密機械を傷つける可能性が低くなるでしょう。

純水の「工業や医療」での利用例

工業分野や医療現場においても、純水は重要な役割を果たしています。
例えば、半導体製造において、製品の回路が非常に繊細であるため、汚染物質の影響を最小限に抑えることが必要不可欠です。

そのため、製造工程で使用される水には極めて高い純度が求められます。
純水は不純物がほとんど含まれていないため、回路が汚染されたり、故障したりするリスクを低減できるのです。

医療分野でも、純水は多岐にわたる用途で利用されています。
医療機器は、感染を防ぐために徹底的な洗浄が求められますが、普通の水では残留物が残る可能性が高いです。

そのため、医療機器の洗浄や滅菌作業では純水の使用が適しています。
純水を使用することで、細菌やウイルス、その他の微生物を効果的に除去し、感染リスクを最小限に抑えることが可能です。

また、人工透析などの医療処置においても、患者に使用する水の純度が健康に直結するため、純水を使用します。

さらに、製薬業界でも、薬品製造や調合において純水が利用されています。
医療分野と同じく、製薬業界も人間の健康に直結する業界です。
製薬工程で使用される水が不純物を含んでいると、薬の効果が低下したり、製品の安定性に影響を及ぼしたりする可能性があります。

薬の安全性と有効性を確保するために、純水を使用しているのです。
また、研究開発の過程でも、実験用の溶液や試薬の調製に純水が使われ、実験結果の信頼性を高める役割を果たしています。

自宅で簡単にできる純水の作り方

蒸留法(基本的な純水製造方法)

蒸留法は、純水の基本的な製造方法のひとつです。

水を加熱して蒸気にし、その蒸気を冷やして再び液体に戻すことで、純度の高い水を作り出しています。

蒸気になる際に水中の不純物、特にミネラルや有機物、重金属などは蒸気化されずに残るため、凝縮された水は非常に純度の高いものとなるのです。

デメリットとしては手間がかかる点が挙げられるでしょう。
お湯を沸騰させて冷やす工程が必要となるため、すぐに純水を必要としているときには適しません。

家庭で蒸留法を用いて純水を作る場合には、大きな鍋、蓋(ガラスや金属製が望ましい)、鍋の中に入るガラスなどのボウル、氷、保存容器が必要です。

●手順

  1. 水道水を鍋に入れ、ボウルを鍋の中に浮かべます。
  2. 鍋の上に蓋をのせます。このとき、蓋を裏向きに乗せるのがポイントです。
  3. 蓋の上に氷をのせます。
  4. 火をつけて、鍋の中のお水を沸騰させます。
  5. 蓋についた水滴がガラスボウルの中に溜まっていきます。これが蒸留水です。
  6. 必要量がボウル内に溜まったら、保存容器に移し替えます。

ろ過法(活性炭フィルターを利用)

ろ過法は、家庭で手軽に純水を作るもうひとつの方法です。
活性炭フィルターを使用して水中の有機物や塩素などの不純物を除去します。

活性炭には表面に無数の小さな孔が開いていて、この孔を水を通過する際に不純物を吸着することで水を浄化できます。

ろ過法の最大のメリットは手軽さです。
蒸留法と違って加熱や冷却が不要なので、手間をかけずに純水を作ることができます。
また、浄水器の設置が比較的簡単で、大きな設備が不要なのも利点です。

ただし、活性炭フィルターだけでは、完全に純粋な水を得ることはできません。
不純物を完全に除去するには限界があるため、非常に高い純度の水が必要な場合は、この方法だけでは不十分です。

また、フィルターの性能や寿命も限られており、定期的な交換が必要になります。

注意したい純水の保管方法と使用期限

純水を精製した場合の保管には注意が必要です。

保管方法や使用期限を守らないと、純水としての効果がないだけでなく、人体に悪影響を及ぼす可能性もあります。

ここからは、保管方法や使用期限を詳しく解説します。

保管容器の選び方と洗浄の重要性

純水は非常に純度が高いため、取り扱いや保管には細心の注意が必要です。

不純物が少ないため、わずかな汚染でも水質に大きな影響を与える可能性があります。
したがって、保管容器は常に清潔な状態を保つことが重要です。

容器を定期的に洗浄し、雑菌の繁殖や他の不純物の混入を防ぎます。
また、洗浄後の容器はしっかりと乾燥させ、水分や洗剤が残らないように気をつけましょう。

容器が汚れていると、せっかくの純水がすぐに汚染されてしまい、使用用途に支障をきたしてしまいす。
容器の清潔さを保つことで、純水の品質を維持できるでしょう。

純水の保存方法と使用期限

純水は保存方法や期限にも特別な配慮が必要です。
原則として、純水を精製したらすぐに使用するようにしましょう。
理由として、時間が経つにつれて純度が低下し、不純物の混入が増える可能性があるからです。
密封され、市販されている精製水の場合は、使用期限が明記されているので、それに従います。
適切な保管と早期使用が、純水の品質を維持するためのポイントです。

保管方法として、純水は空気中の不純物を吸収しやすいため、密閉容器で保管することを基本とします。
密閉することで、外部からの汚染を防ぎ、純水の品質を長期間維持することが可能です。

また、保存場所も重要で、直射日光の当たらない冷暗所で保存するようにしましょう。
日光にさらされると、純水の酸素や水素が分解され、水質が変化する恐れがあります。

さらに高温環境下では、細菌が繁殖しやすくなるため、純水の品質が急速に劣化してしまう可能性があるため注意が必要です。具体的な対策としては、冷蔵庫での保管があげられます。
冷蔵庫内は低温かつ暗所です。
細菌の繁殖を抑える効果があり、純水の保存期間を多少延ばすことができます。

純水について「よくある質問」

Q. 純水は飲むことができるの?

純水や超純水には有害物質が含まれていないため、理論上は飲用しても問題ありません。
純水や超純水は、半導体や医療・工業分野、科学実験などで主に利用されるため、飲用のイメージはあまり強くないでしょう。

しかし、実際には余計な雑味がないため、清涼飲料水や炭酸飲料、コーヒー、お茶などの原料としても使用されています。
市販されているピュアウォーターや防災用の保存水も、多くは純水や蒸留水に該当します。

ただし、一部の専門家は、純水が体内のミネラルを溶かし出してしまう可能性があると指摘しています。
そのため、日常的に水を飲みたい場合は、ミネラルが添加された天然水やRO水を選ぶ方が安心です。
もし純水を飲む際は、直接飲むのではなく、お茶やコーヒー、料理に利用すると良いでしょう。

Q. 水道水を純水にする方法はある?

家庭用純水装置を使用して、家庭でも水道水を純水にすることができます。
イオン交換樹脂は水中のイオンを交換し、不純物を取り除くことが可能です。

また、逆浸透膜は水分子だけを通過させ、他の不純物を物理的に除去可能です。
家庭用純水装置(浄水器)は、家庭での飲料水や調理用水として純水を手軽に利用できるため、非常に便利です。

ただし、ろ過できる程度には限りがあるため、高純度の純水が必要な場合は、その用途に応じて適切な商品を購入する方が良いでしょう。

まとめ

純水は工業や医療現場だけでなく、一般家庭においても広く利用されています。

自宅で純水を作る方法もあるため、注意点を守れば簡単に純水を得ることが可能です。
ただし、保管方法や使用期限などを守らないと、純水としての効果を発揮できないこともあります。

正しい保管方法や使用期限を守り、安全かつ効果的に純水を活用しましょう。