健康に良いとされるアルカリイオン水をご存じでしょうか?
アルカリイオン水とは、水を電気分解して弱アルカリ性にした水のことで「アルカリ性電解水」とも呼ばれています。
アルカリイオン水は、日常的に飲用されることがありますが、摂取を控えたほうがよい場合もあります。
今回は、アルカリイオン水の効果とメリット、デメリットや注意点について紹介します。

1.アルカリイオン水とは?
アルカリイオン水は専用の生成器を使用して作られます。
水道水に電流を流し、電圧をかけることで電気分解が起こり、水の分子がプラス極とマイナス極に分かれます。
このとき、プラス極に集まった水は酸性水、マイナス極に集まった水はアルカリイオン水と呼ばれます。そのため、天然水でできたミネラルウォーターとは異なります。
また、ph値(酸性・アルカリ性の度合を表す数値)がph8~10程度の水が、一般的にアルカリイオン水とされています。
2.アルカリイオン水を飲んではいけない人
アルカリイオン水は、1日あたり0.5~1リットル摂取すると、体によい影響を与えるのに役立つとされています。
しかし、すべての人に適しているわけではなく、以下の方は摂取をひかえたほうがよい場合があります。
2-1.赤ちゃんや乳幼児
赤ちゃんや乳幼児は消化器官が未熟で、消化能力も大人に比べると低いため、アルカリイオン水に含まれるミネラルを適切に処理できない場合があります。
また、体への負荷が大きくなることで、下痢や腹痛の原因を引き起こす可能性も指摘されています。
そのため、ミルクや離乳食の調理には、アルカリイオン水ではなく通常の水道水の使用することが推奨されています。
アルカリイオン水を飲ませる場合は、2~3歳頃を目安に様子を見ながら与えるようにしましょう。
2-2.腎臓に病気や障害を抱えている人
慢性腎不全や糖尿病性腎症などの、腎臓の病気や障害を抱えている人も、アルカリイオン水の摂取を避けたほうが良いでしょう。
腎機能が低下により、ミネラルの処理能力が落ちるため、健康被害を及ぼす可能性があるからです。
特に腎疾患が進行していると、カリウム排泄障害になってしまうこともあります。
もしアルカリイオン水を飲用したい場合は、かかりつけ医に相談しましょう。
2-3.何らかの医薬品を飲んでいる人
処方された医薬品のなかには、ミネラルを豊富に含むアルカリイオン水に影響を受けるものもあります。
本来発揮するべき薬の効果に変化が生じたり、副作用が強く出る可能性もあるため、アルカリイオン水の飲用が、治療の妨げとなる可能性があります。
アルカリイオン水と薬との同時摂取は控えたほうが、安心です。
服薬の際に飲む水は、ミネラルの少ない水道水や軟水を使用しましょう。
3.アルカリイオン水を飲むデメリット
アルカリイオン水を飲むデメリットもあります。
体質的にアルカリイオン水を飲んではいけない人や、飲みすぎた時など身体に負担がかかり、不調があらわれることがあります。
胃酸過多を改善する効果があることから、過剰摂取により胃酸の殺菌能力が弱くなり、消化不良を起こすともいわれています。
また、胃腸を改善する効果もあるのですが、やはり飲みすぎると下痢になってしまいます。
アルカリイオン水のPH値には注意して摂取しましょう。
3-1.過剰摂取で「水中毒」の恐れも
アルカリイオン水の過剰摂取で、水中毒を引き起こす可能性もあります。
特に、美味しいからといって一気にたくさん飲みすぎると水中毒による「希釈性低ナトリウム血症」と呼ばれる状態を招く危険性があります。
なお、水中毒はアルカリイオン水に限らず、どの水分でも起こりうるものです。
適量を意識し、常識的な範囲内で摂取するようにしましょう。
4.アルカリイオン水を飲む時の注意点
アルカリイオン水はデメリットもありますが、メリットも多くあります。
適正なpH値、適正な飲用量、飲み方を守って飲用すると、期待する健康効果が得られるでしょう。
ここからはアルカリイオン水を飲む際のポイントを解説していきます。
4-1.飲み始めはpH値の低いものから
アルカリイオン水の適正なpH値は、pH9.5とされています。
ちなみに、pH10以上は飲用不可となっています。
しかし、体調によってはpH9.5でも身体に合わないことがあるため、飲み始めの頃は、pH8.5に近い水を飲むようにしましょう。
飲み始めてから2週間ほど経っても体調に問題がない場合は、pH値と飲用量を徐々に調整していきましょう。
4-2.アルカリイオン水の1日の適正な飲用量は500ml~1L
アルカリイオン水の1日の適正な飲用量は500ml~1Lとされています。
まずはコップ1杯(約200ml)から試し、身体が慣れてきたら飲む量を増やすようにしましょう。
アルカリイオン水の飲み過ぎは消化不良や下痢、水中道を起こす恐れがあるので、適量を守って摂取しましょう。
4-3.医薬品とは一緒に飲まない
医薬品と一緒にアルカリイオン水を飲まないようにしましょう。
なぜなら、アルカリイオン水で医薬品を服用した場合の影響については、まだ十分に研究されていない部分があるからです。
そのため、副作用が強く出る可能性が完全には否定できません。
薬を服用する際は、アルカリイオン水ではなく、通常の水で飲むようにしましょう。
4-4.赤ちゃんのミルク作りにアルカリイオン水は使わない
赤ちゃんや乳幼児は消化機能が未発達のため、大人よりも体への負荷が大きくなります。
また、赤ちゃん用のミルクには、ミネラルなどの栄養分が調整されているため、ミネラル分が多いアルカリイオン水を使うと過剰摂取になる可能性があります。
そのため、赤ちゃんのミルク作りには、浄水を使用するのがおすすめです。
ただし、災害時などアルカリイオン水以外に選択肢がない場合、短期間の使用であれば問題ないとされています。
4-5.似ているがpH値の高いアルカリ「電解水」は飲めない
アルカリイオン水と似た名前のアルカリ電解水は、飲用することができません。
アルカリイオン水のpH値がph8~10程度に対し、アルカリ電解水のpH値は11以上と非常に高いアルカリ性を示します。
アルカリ電解水は掃除用に使われる水であり、飲用するとのどの粘膜を傷つけたり、体調を崩したりする危険性があります。
pH値が10以上の水は飲用禁止とされているため、アルカリ電解水とアルカリイオン水を混同しないように注意しましょう
5.まとめ
今回は、アルカリイオン水を飲んではいけない人や、デメリット・注意点について解説しました。
アルカリイオン水は、適正なpH値、適正な量を守って飲めば、健康効果が期待できるとされています。
以上のポイントを意識しながら、安全にアルカリイオン水を活用していきましょう。