老犬が急に水を飲まなくなると、「体調が悪いのでは」「脱水にならないか」と不安になるものです。
原因はさまざまありますが、基本は加齢に伴い、喉の渇きを感じにくくなったり、口腔トラブルや内臓疾患が影響したりするケースも少なくありません。
水分不足は、身体への負担を高め、健康に関わるリスクがあります。
本記事では、老犬が水を飲まない主な原因をわかりやすく解説し、日常でできる水分補給の工夫を紹介します。
愛犬の小さな変化を見逃さないために、ぜひチェックしてください。

1.老犬が水を飲まない主な原因「老化・病気・環境要因」
老犬が水をあまり飲まなくなる背景には、加齢による体の変化だけでなく、病気や生活環境の影響が関係している場合があります。
「年のせい」と思って見過ごしてしまうと、体調悪化に気づくことが遅れる危険があるので注意が必要です。
ここでは、老犬が水を飲まなくなる代表的な原因を分類し、それぞれの特徴と確認ポイントを整理します。
1-2.加齢で代謝が低下し喉の渇きを感じにくくなる
老犬になると、腎機能や代謝機能が徐々に低下し、体内の水分バランスを感知する働きが弱くなります。
その結果、体が水分不足の状態でも、若い頃ほど強い喉の渇きを感じにくくなり、水を飲む回数や量が減るケースがほとんどです。
これは多くの老犬に見られる正常な老化現象であり、食欲や元気があり、排尿の状態に大きな変化がなければ過度に心配する必要はありません。
ただし、急激に飲水量が減った場合は、他の原因も疑い慎重に様子を見ましょう。
別の要因がきっかけで水分をとらない可能性もあるので、様子がいつもと違う場合は、早めに病院で診察を受けてください。
1-3.病気が原因の場合「腎臓病・糖尿病・心臓病」などの可能性
水を飲まない、または飲み方が不安定な場合、病気が隠れているケースもあります。代表的なものは以下の通りです。
・腎臓病:食欲不振、体重減少、元気消失、尿量の変化
・糖尿病:食欲はあるが体重が減る、元気がない、尿の異常
・心臓病:咳、呼吸が荒い、疲れやすい
水を飲まない行動だけで判断せず、これらの症状をあわせて観察しましょう。
病気の場合は、発見が遅れるほど症状が悪化するリスクがあります。
様子がおかしい場合は、自己判断せずに病院で診察してもらいましょう。
1-4.口内トラブル「歯周病や口内炎」で水が飲みづらいケース
歯周病や口内炎などの口内トラブルがあると、水を飲む際に痛みを感じ、飲水を避けるようになります。
歯茎の腫れや赤み、出血、強い口臭、よだれの増加などは代表的なサインです。
また、水皿に口を近づけてもすぐに離れてしまう、飲む途中でやめるといった行動も見られます。
老犬は歯や歯茎のトラブルが起こりやすいため、日常的に口の中をチェックし、異変に早く気づくことが大切です。
定期的に歯磨きをする、病院で口内環境をチェックしてもらうなどして、口内トラブルを予防しておきましょう。
1-5.環境要因「水の置き場所・器の高さ・水質」の影響
体調に問題がなくても、生活環境が原因で水を飲まなくなることがあります。
水の置き場所が遠い、段差があり移動がつらい、器が低すぎて首や腰に負担がかかるといった状況は、老犬にとって大きなストレスになり、水分不足に陥る原因になるかもしれません。
また、水が古くなっている、水道水の匂いや味を嫌がるといった理由で飲水量が減るケースもあります。
器の高さ調整や設置場所の見直し、新鮮な水への交換など、改善しやすい点から対策することが効果的です。
1-6.季節や気温による飲水量の変化
飲水量は季節や気温によっても自然に変化します。
夏場は暑さの影響で体温調整のため水を飲む量が増えますが、冬場は寒さで喉の渇きを感じにくくなり、飲水量が減る傾向にあります。
とくに寒い環境では活動量が落ち、水を飲む回数自体が減りがちです。
冬でも室温が低すぎないか確認し、季節ごとの平常時の飲水量を把握しておけば、異常な変化に気づきやすくなります。
また、水の温度が冷たすぎると、飲むことを躊躇う可能性もあるでしょう。
冷たい水ではなく、常温程度の水温になるよう配慮してあげてください。
1-7.認知症による行動の変化
高齢犬では、認知症による行動の変化が水を飲まない原因になるケースがあります。
水の置き場所を忘れる、器の前まで来ても飲み方がわからなくなる、立ち尽くしてしまうといった行動が特徴です。
あわせて、徘徊や昼夜逆転、呼びかけへの反応が鈍くなるなどの症状が見られるケースがあります。
このような場合は、水飲み場を複数設置する、動線をシンプルにするなど、環境面でのサポートが飲水を促す助けになるでしょう。
2.老犬に水を飲ませる7つの工夫「自宅でできる水分補給の方法」
老犬が水をあまり飲まなくなった場合でも、ちょっとした工夫で飲水量が改善するケースは少なくありません。
大切なのは「無理に飲ませる」のではなく、老犬の体や感覚に寄り添った環境を整えるといった点です。
ここでは、今日から自宅で実践できる水分補給の工夫を7つ紹介します。
愛犬に合う方法を見つけるヒントとして活用してください。
2-1.水の器を変える「高さ・素材・大きさ」を見直す
老犬にとって、水飲み器の条件はとても重要です。
器が低すぎると首や腰に負担がかかり、飲むこと自体が億劫になります。
ストレスなく水を飲んでもらうなら立ったまま、軽く首を下げる程度で飲める高さが理想です。
素材は匂い移りが少なく清潔を保ちやすいステンレスや陶器がおすすめです。
また、口がしっかり入る広さがある器の方が飲みやすく、ストレス軽減につながります。
器を変えるだけで飲水量が増えるケースもあるので、実践してみてください。
愛犬のサイズによって適切な大きさは異なるので、高さを図ったりいつもの容器と比べたりして、負担がない器を選択しましょう。
2-2.水の置き場所を動線上に増やす
老犬は若い頃に比べて移動が負担になります。
水飲み場が遠いだけで「飲むのをやめてしまう」ことも珍しくありません。
そのため、リビング、寝床の近く、庭に出る犬であれば出入口付近など、老犬が普段よく通る動線上に複数設置することが効果的です。
「喉が渇いたらすぐ飲める」環境を作れば、自然と飲水回数が増えます。
とくに夜間用の水飲み場を用意しておけば、起きたときにすぐ水分補給できます。
飼い主が様子を見れないタイミングでも水分補給してくれるので、適切な距離感で水の置き場所を増やしてあげてください。
2-3.ぬるま湯やチキンスープ、犬用ミルクで嗜好性を高める
水そのものに興味を示さない老犬には、香りや温度を工夫すると効果的です。
人肌程度のぬるま湯は、冷たい水が苦手な老犬でも飲みやすくなります。
また、無塩のチキンスープや犬用ミルクを少量混ぜておけば、香りに誘われて飲むケースもあります。
ただし味付けは必ず薄くし、毎回同じ方法に頼りすぎないよう注意しましょう。
味付けが濃すぎると、内臓に負担がかかる可能性もあるため、準備する際には気を配りましょう。
2-4.ウェットフードやドライフードをふやかし水分を補給する
食事から水分を摂取するのも有効な方法です。
ウェットフードは水分含有率が約70~80%と高く、飲水量が少ない老犬にはとくに向いています。
また、ドライフードの場合は、ぬるま湯をかけて5~10分ほど置き、柔らかくしてから与えると水分補給につながります。
香りも立ちやすくなり、食欲が落ちている老犬にも効果的です。
ただし、急な切り替えは逆効果になる可能性があります。
そのため、様子を見ながら少しずつ取り入れ、警戒せずに水分補給できるよう配慮していきましょう。
2-5.自動給水器を活用・新鮮な水で意欲を刺激
流れる水を好む犬は意外と多く、自動給水器が飲水量アップにつながるケースがあります。
循環式給水器は常に水が動いているため新鮮さを保ちやすく、酸素も多く含まれることが特徴です。
選ぶ際は、音が静かで掃除しやすい構造かどうかがポイントです。
ただし、音や動きに警戒する老犬もいるため、最初は通常の器と併用し、無理なく慣らしていきましょう。
警戒しているときは使用を控え、少しの時間だけ稼働させて様子を見てあげてください。
2-6.氷やシャーベットで水分補給
夏場や食欲が落ちている時期には、氷やシャーベット状の水分補給も有効です。
無塩チキンスープや薄めた犬用ミルクを凍らせれば、おやつ感覚で水分がとれます。
舐めるだけでも少しずつ水分が入るため、まったく水を飲まない時の補助として役立ちます。
ただし与えすぎや冷えすぎには注意し、体調や季節に応じて使い分けましょう。
2-7.水の質を見直す「水道水の塩素や不純物」の影響も
嗅覚が鋭い犬の中には、水道水の塩素臭や味を嫌がる老犬もいます。
その場合、浄水器を通した水や、一度煮沸して冷ました水に変えるだけで飲水量が改善できます。
ミネラルウォーターを使う場合は、成分が偏りすぎないよう注意が必要です。
水を替えた直後の反応を観察し、愛犬が好む水質を見つければ、水分補給の継続につながります。
急に切り替えると、犬も警戒する可能性があります。警戒しているときは、少しずつ取り入れていき、様子を見ていきましょう。
3.老犬の1日に必要な水分量の目安・体重別の目安

老犬に必要な1日の水分量は、一般的に体重1kgあたり50~60mlが目安とされています。
たとえば5kgなら約250~300ml、10kgなら約500~600mlが基準です。
ただし、食事内容や季節、持病の有無によって適量は前後します。ドライフード中心の犬はとくに水分不足になりやすいため注意が必要です。
まずは体重別の目安量を把握し、「今日はどれくらい飲めているか」を意識することが脱水予防の第一歩になります。
犬に与える水分量の目安としては、下記の表を参考にしてください。
| 体重 | 1日に与える水分量(ml/日) |
| 2kg | 190ml |
| 3kg | 260ml |
| 4kg | 320ml |
| 5kg | 370ml |
| 6kg | 430ml |
| 7kg | 480ml |
| 8kg | 530ml |
| 9kg | 580ml |
| 10kg | 630ml |
| 15kg | 850ml |
| 20kg | 1,060ml |
| 25kg | 1,250ml |
| 30kg | 1,440ml |
| 35kg | 1,610ml |
| 40kg | 1,780ml |
3-1.飲水量を記録する習慣は健康管理の第一歩
老犬の健康管理では、飲水量を記録する習慣が大きな助けになります。
毎日完璧に測る必要はありませんが、「昨日より明らかに少ない」「ここ数日減っている」と気づけるだけでも十分です。
また、記録があれば、体調変化を早期に発見でき、動物病院での説明もスムーズになります。
とくに持病がある老犬では、飲水量の変化が重要な判断材料になるでしょう。
無理のない形で、日常の習慣に取り入れていきましょう。
4.老犬の水分補給と水の質「安全でおいしい水が健康寿命を延ばす」
老犬の健康を支えるうえで、水分量だけでなく「どんな水を与えるか」も重要なポイントです。
水の味や成分は飲水量に影響し、腎臓などの内臓への負担にも関わります。
ここでは、水道水やミネラルウォーター、ウォーターサーバーなど、水の選択肢ごとの特徴を整理し、老犬にとってより安全で負担の少ない水の考え方を解説します。
4-1.犬に水道水をあげても大丈夫?塩素・トリハロメタン・PFASの影響
日本の水道水は厳しい水質基準のもと管理されており、基本的には犬に与えても安全とされています。
ただし、消毒のために含まれる塩素の匂いや味を嫌がる犬は少なくありません。
また、微量に含まれるトリハロメタンや、近年話題のPFAS(有機フッ素化合物)などの化学物質が気になる飼い主も増えています。
健康リスクは低いとされていますが、匂いによる飲水量低下を防ぐ目的で、水質を見直す対応も検討してみてください。
PFAS問題については、別記事で紹介しています。
詳しく知りたい人は、こちらの記事もチェックしてみてください。
4-2.ミネラルウォーターは老犬に適している?硬度とミネラルバランスの注意点
ミネラルウォーターを与える場合に注意したいのが、硬度です。
カルシウムやマグネシウムが多い硬水は、老犬では尿路結石や腎臓への負担につながる可能性があります。
そのため、老犬にはミネラル分が控えめな軟水がおすすめです。
日本国内のミネラルウォーターの多くは軟水であり、成分表示を見れば硬度が確認できます。
また、海外製品を使う場合はとくに硬度の確認が重要です。
4-3.ウォーターサーバーのメリット
近年、ペットを飼育する家庭でもウォーターサーバーの利用が増えています。
温水・冷水をすぐ使えるため、ぬるま湯を簡単に用意できる点は老犬の水分補給に便利です。
また、密閉構造で衛生的に管理しやすく、定期的なメンテナンスがおこなわれる点も安心材料といえます。
水の鮮度や味が安定すれば飲水量が増えるケースもあり、日常の負担軽減にもつながります。
4-4.老犬の腎臓に優しい水とは?軟水・浄水の選び方
老犬は加齢とともに腎臓機能が低下しやすいため、体に負担の少ない水選びが重要です。
基本はミネラル分の少ない軟水が適しており、余分な成分を抑えれば腎臓への負担を軽減できます。
水道水を使う場合は、活性炭タイプや中空糸膜タイプなどの浄水器を活用するのも有効です。
目的や設置環境に合わせて選べば、無理なく安全な水を継続できます。
5.老犬の健康を守る日常ケア「水分補給以外の注意点」
老犬の健康維持には、水分補給だけでなく、日々の生活全体を見直すことが欠かせません。
年齢を重ねるにつれて体力や内臓機能は少しずつ低下し、若い頃と同じ生活習慣では負担になるケースもあります。
食事、運動、健康管理を老犬に合った形へ調整すれば、体調不良の予防や健康寿命が延びる結果につながるでしょう。
ここでは、水分補給以外でとくに意識したい日常ケアのポイントを紹介します。
5-1.食事の質と量の見直し・シニア犬専用フードの活用
老犬には、消化しやすく内臓に負担をかけにくい食事を選ぶことが、健康にとって重要です。
タンパク質は必要量を確保しつつ、脂質やリン、ナトリウムは控えめに調整することが基本です。
シニア犬専用フードは、加齢に配慮した栄養バランスで設計されており、関節や腎臓への配慮成分が含まれるものもあります。
また、活動量の低下に合わせて給餌量を見直さないと肥満につながるため、体重や便の状態を確認しながら調整することが大切です。
5-2.適度な運動と休息のバランス
老犬にとって運動は筋力維持や認知機能の刺激に役立ちますが、無理は禁物です。
散歩は距離や時間を短めにし、犬のペースに合わせてゆっくりおこないましょう。
滑りにくい場所を選び、段差や急な坂道は避けると関節への負担を減らせます。
また、十分な休息と睡眠を確保することも重要です。
静かで安心できる寝床を用意し、生活リズムを整えれば、心身の負担を軽減できます。
5-3.定期的な健康チェックと早期発見の重要性
老犬は体調の変化が表に出にくいため、定期的な健康チェックが欠かせません。
目安として年2回以上の健康診断を受ければ、病気の早期発見につながります。
日常では、食欲の有無、元気さ、飲水量、排泄の回数や状態、歩き方の変化などをチェックリスト感覚で確認しましょう。
小さな変化に気づき、早めに対応することが、老犬の健康を守る大きなポイントです。
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6.まとめ
老犬が水を飲まない状態は、単なる好みの変化ではなく、体力低下や病気のサインである可能性があります。
加齢により喉の渇きを感じにくくなったり、腎臓や口腔内のトラブルを抱えていたりするケースも少なくありません。
そのため、水の温度や器の高さを工夫する、食事から水分を補うなど、日常的な対策が重要です。
同時に、食欲不振や元気消失、排泄異常などの危険サインを見逃さず、異変を感じたら早めに動物病院へ相談しましょう。
日々の小さな気配りが、老犬の脱水予防と健康寿命を延ばすきっかけにつながります。
