硬水はカルシウムやマグネシウムなどのミネラルを含むため、健康や美容に良いと注目されています。
しかし、一方で硬水を飲むと下痢を引き起こす場合があるのも事実です。
本記事では。硬水による下痢になるメカニズムや影響、下痢を防ぐ飲み方、体質に合った硬水の選び方など詳しく解説します。
硬水を飲む習慣を始めたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

1.硬水とは?軟水との違いを知ろう
水には「硬水」と「軟水」の2つの種類があり、硬度の違いによって区別されます。
硬度とは、水の中に含まれるマグネシウムとカルシウムの量を表す数値のことです。
硬度の計算方法は以下の通りです。
硬度≒(カルシウム量mg/L×2.5)+(マグネシウム量mg/L×4.1)
硬度が高い水を「硬水」、低い水を「軟水」といいます。
WHOによる硬度区分では、硬度60mg/L 未満が軟水、中程度の硬水が60~120mg/L 未満が中程度の硬水、120~180mg/L 未満が硬水とされています。
日本の水道水の硬度は、平均約50mg/Lなので普段使用している水は「軟水」に分類されます。
硬度の違いは水の味にも影響します。
軟水は口当たりがやわらかく、飲みやすいのが特徴です。
一方、硬水は軟水に比べて苦味やえぐみ、重たさを感じる人が多くこれはカルシウムやマグネシウムなどといったミネラル成分がが多いためです。
2.硬水を飲むとお腹を壊すことがあるのはなぜ?

硬水はミネラルを豊富に含むことから健康に良いとされていますが、場合によってはお腹を壊してしまうこともあります。
なぜ硬水を飲むと下痢になるのか、体質や飲み方による影響について解説します。
2-1. 硬水に含まれるマグネシウムの影響
硬水を飲んで下痢になってしまう原因のひとつに、マグネシウムの影響が挙げられます。
マグネシウムは便秘薬にも使われている成分で、硬水中に含まれるマグネシウムは体内で吸収されにくく、水分を集めて便をゆるくする働きがあります。
そのため、硬水を飲むとお腹を壊しやすくなるのです。
2-2.個人の体質や飲み方による影響
硬水にはマグネシウムが多く含まれており、個人の体質や飲み方によっても影響を及ぼす場合があります。
体内のマグネシウム量が少ない人や、胃腸が未発達な新生児、もともと腸が弱い人は硬水による影響を受けやすい傾向があります。
また、消化機能が弱まる原因にもなることもあります。
3.硬水を安全に飲むには?
下痢になる可能性が高い硬水ですが、適量のカルシウムやマグネシウムなどのミネラル分は、私たちの健康維持に欠かせない成分です。
そんな健康や美容に効果があるとされる硬水は、習慣的に取り入れたいものです。
では、硬水を安全に飲むためにはどんな方法があるのでしょうか?
以下では、身体に負担をかけずに硬水を飲むポイントを4つ紹介します。
3-1.少量から飲み始める
硬水を安全に飲むためには、少量から飲み始めることをおすすめします。
個人の体質や体調により適応程度が異なるため、自分の身体の調子を見ながら、量を少しずつ増やしていきましょう。
ただし、少しでも体調不良を感じた場合は、摂取を控え必要に応じて医師の診断を受けてください。
3-2.食後に飲む
硬水を飲むタイミングも重要です。
腸を刺激しやすい硬水は、食後に飲むのがベストです。
空腹時に摂取するよりも、食後に飲むことで胃腸への負担を軽減し、食べ物の消化と栄養吸収をサポートする効果が期待できます。
ただし、食後に飲む時も適量を守って飲むことがポイントです。
3-3.1日を通してこまめに飲む
少量から飲み始めるのと同様に、1日を通してこまめに飲むようにすると硬水の良い効果が実感しやすいです。
目安として、500mlペットボトルの硬水を1日で小分けにして飲むようにすると良いでしょう。
1日の終わりに、500ml飲み切れたということが可視化されるので、わかりやすくておすすめです。
3-4.体質に合った硬水を選ぶ
個人の体質や生活習慣によって合う硬水も異なります。
マグネシウムやカルシウムが多く含まれている硬水は、消化器系が弱い方や体調がすぐれない場合にお腹を壊す原因となります。
また、結石のリスクを抱えている方や腎臓疾患を持つ方は硬水が身体に負担をかける恐れがあるため、軟水を選ぶようにしましょう。
硬水によって硬度が異なるため、最初は中硬度の硬水を選ぶことをおすすめします。
その際も体調によっては軟水に変更したりなど、適宜飲む水の種類を変えることがポイントです。
4.硬水による下痢を改善する方法
もし硬水を飲み始めて下痢になってしまった場合は、無理に飲み続けるのは避けましょう。
せっかく飲み始めたからといって無理に飲み続けると、胃腸や身体に負担をかけてしまう可能性があります。
正しく健康的に硬水を飲み続けるために、一旦控えるという判断も大切です。
もし硬水を飲んで下痢になってしまった時は、以下の5つの方法を試してみてください。
4-1.硬水を控える
硬水を飲んで下痢の症状が出てきたら、一旦硬水を控えましょう。
無理して飲み続けると下痢による脱水症状が現れる場合があります。
その日の体調が悪いだけかもしれませんが、そもそも体質が合わないということもあります。
軟水に切り替えるなどして、様子を見てから、再度硬水を少量ずつ飲んでみると良いでしょう。
4-2.水分補給をしっかりおこなう
下痢になって水分補給を十分におこなわないと、脱水症状があらわれだします。
そうならないためにも、硬水以外の水分で水分補給をおこなうことが大切です。
下痢になった場合に補給すべき水分量の目安は、水っぽい下痢を1回したら10ml×体重kg(例:体重15kgなら150ml)といわれています。
補給する水分は、 腸を刺激する冷たい飲み物ではなく、栄養素も補えるスープや野菜ジュース、経口補水液、スポーツドリンクなどを摂取するようにしましょう。
摂取する際は常温のものを使用してください。
4-3.食事に注意する
下痢になってしまった場合は、水分だけでなく食事の内容にも気を付ける必要があります。
たとえば、繊維質の多い野菜・果物・海藻・きのこ・こんにゃくなどは控えましょう。
また、刺激の強い辛い食べ物や、コーヒーなどのカフェインを含む飲み物、アルコール飲料・炭酸飲料なども腸に刺激を与えるので控えておきましょう。
4-4.十分な休息をとる
硬水による下痢が続く場合は、まずは安静にすることが大切です。
下痢は腸の働きが異常になっている状態であり、無理をせず体を休める必要があります。
お腹の調子を見ながら十分な休息をとり、睡眠時間をしっかり確保しましょう。
4-5.症状が長引く場合は医療機関を受診する
それでも下痢の症状が長引く場合は、医療機関を受診してください。
受診後は水分補給を心掛け、刺激の多い食べ物を控え、消化しやすいものを選ぶようにしましょう。
具体的には白米、おかゆ、うどん、スープなどのシンプルな食事がおすすめです。
また、睡眠もしっかりとるようにしましょう。
5.硬水の選び方とメリット・デメリット
ミネラル豊富な硬水は、日本人に不足しがちなマグネシウム・カルシウムを摂取するのに適しています。
ただし、硬水といっても硬度や採水地、口当たりは様々な違いがあります。
硬水を選ぶ時は、美味しさ(飲みやすさ)、硬度、体質への適合性の3点をチェックすると良いでしょう。
ここからは、硬水のメリット・デメリットについても、解説していきます。
5-1.硬水のメリット
硬水には、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルが豊富に含まれているため、健康的な生活を支える多くのメリットがあります。
たとえば、硬水に含まれるカルシウムは、動脈硬化の予防になります。
また、マグネシウムは消化器系の働きを促すため、便秘解消に効果的といわれています。
また、料理にもメリットがあります。
肉料理の煮込みに硬水を使うと、硬水に含まれるカルシウムと肉を固くするタンパク質が結びつき、アクとして取り除かれるため、肉が柔らかくなるのです。
お茶や紅茶に硬水を使用すると渋みが抑えられ、飲みやすくなる効果もあります。
5-2.硬水のデメリット
一方、ミネラルが多い分重い口当たりになり、味が苦手な人にとっては飲みにくいことがあります。
飲みづらい場合には、軟水と混ぜて飲むのもひとつです。
さらに、胃腸が弱い人や腎臓に障害を持つ人、結石のリスクがある人は、体に負担をかける可能性があるため控えておいたほうが良いでしょう。
これらの症状がない方でも、体調によっては下痢を引き起こすこともあるため、様子を見ながら摂取することをおすすめします。
まとめ
硬水は健康や美容に効果的ですが、摂取し過ぎたり、体調が悪い時に飲むと下痢を起こしやすいため注意が必要です。
また、消化器系の疾患や腎臓に疾患がある方は飲むのを控えておきましょう。
もし、下痢を起こしてしまった場合は硬水の飲用を中止し、水分補給し、消化に良い食事を摂って安静にすることが大切です。
硬水はメリットも多いため、体調や体質に合ったものを選び、少量ずつ摂取することで長く習慣づけられるようになります。