塩分は私たちが生きていく上で欠かせない成分ですが、摂りすぎるとむくみや高血圧の原因になり、健康に悪影響を及ぼします。
特に外食が続いたり、加工食品を頻繁に食べたりしていると、気づかないうちに塩分を過剰に摂取していることも多いです。
もし塩分を摂りすぎた場合は、適切な対処をする必要があります。
本記事では、塩分を摂りすぎたときの体のサインやおすすめの飲み物、効果的な塩分の排出方法について解説します。

1.塩分を摂りすぎた時の体のサイン
塩分を過剰に摂取すると、体内のバランスが崩れ、さまざまな不調が現れます。
特に、体内の水分量や血圧に関係する影響が大きく、むくみや頭痛、高血圧といった症状が出ることも少なくありません。
また、腎臓や肝臓にも負担がかかるため、長期的に見て病気のリスクが高まる可能性もあります。
ここでは、塩分を摂りすぎた際に表れる代表的な体のサインについて解説します。
1-1.むくみが生じる
塩分を過剰に摂取すると、血液中のナトリウム濃度が上昇し、体が水分を溜め込もうとします。
そのため、体がむくみやすくなるのです。
特に、顔や手足にむくみや腫れぼったさを感じることが多いです。
たとえば、朝起きたときに指輪がきつくなっていたり、靴が履きにくくなったりすることなどもむくみの影響です。
また、塩分の多い食事を摂った後に喉が渇くのも、体がナトリウム濃度を調整しようとしているサインです。
むくみを感じた場合は、塩分の多い食事を避けるようにしましょう。
1-2頭痛や気持ち悪さの原因に
塩分を摂りすぎると、体内の水分バランスが崩れ、血圧が上昇しやすくなります。
その結果、血管が収縮し、頭痛やめまい、吐き気を引き起こすことがあるのです。
特に、塩分過多による脱水症状が進むと、脳への血流が悪くなり、頭痛が悪化する可能性があります。
塩辛い食事をした後に頭が重く感じたり、気分がすぐれない場合は、塩分の摂取量を見直してみましょう。
また、こまめに水分を補給しながら安静に過ごしましょう。
1-3腎臓や肝臓への負担が増加
腎臓は体内の余分な塩分を排出する働きを持っている臓器です。
しかし、塩分を過剰に摂取すると、腎臓の負担が大きくなります。
腎臓がナトリウムを排出しきれなくなると、体内に余分な水分が溜まりむくみや高血圧を引き起こす原因となることもあります。
また、塩分の多い食生活が続くと、腎機能が低下し、慢性的な腎臓トラブルを引き起こしかねません。
健康維持のために塩分の摂取を適度にコントロールし、腎臓の負担を減らすことが重要です。
1-4高血圧や心疾患のリスクも増加
塩分の摂りすぎによって、血液中の水分量が増えます。
その結果、血管にかかる圧力が高まり、高血圧のリスクが増すだけでなく、動脈硬化や心疾患につながることもあります。
特に、高血圧が慢性化すると、心臓への負担が大きくなり、心不全や脳卒中のリスクが高まるため注意が必要です。
日頃から塩分摂取を意識的に減らし、バランスの良い食事を心がけることで、生活習慣病を防ぐことができます。
2.塩分の摂取目標量は?
健康を維持するためには、塩分の摂取量を適切に管理することが重要です。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」における1日あたりの塩分摂取量の目標は、成人男性で7.5g未満、女性の場合は6.5g未満です。
また、高血圧や慢性腎臓病(CKD)のリスクを軽減するためには、6.0g未満が推奨されています。
さらに、WHO(世界保健機関)では5g未満を推奨しており、より厳しい基準となっています。
日本食は塩分が多く含まれがちなので、日常的に減塩を意識するとよいでしょう。
参考:
厚生労働省「e-ヘルスネット 健康用語辞典 ナトリウム」
公益社団法人 日本WHO協会「塩分の削減」
3.塩分を摂りすぎた時にオススメの飲み物「5種類」

塩分を摂りすぎた場合は、体内の余分なナトリウムを排出しやすくする飲み物を飲むのがおすすめです。
具体的には、カリウムを多く含む飲み物や利尿作用のあるものを摂取することで、塩分の排出を促し、むくみや高血圧のリスクを軽減できます。
ここでは、塩分過多の際におすすめの飲み物を5種類ご紹介します。
普段から意識的に取り入れることで、塩分の影響を和らげる助けになるでしょう。
3-1.水
ナトリウムの排出を促す飲み物として、基本となるのが水です。
水を多めに飲むことで、体内の余分なナトリウムを尿として排出しやすくなります。
特に、塩分の多い食事を摂った後は喉が渇きやすくなるため、意識的に水分補給をすることが重要です。
ただし、一度に大量に飲むのではなく、こまめに摂取するようにしましょう。そうすることで体に負担をかけずに塩分を排出できます。
さらに、常温の水や白湯を選ぶと、内臓への負担軽減も可能です。
3-2.緑茶
緑茶にはカリウムが含まれており、余分なナトリウムの排出を助ける働きがあります。
また、緑茶に含まれるカフェインには利尿作用があり、体内の水分代謝を促進するため、むくみの軽減にもつながります。
ただし、カフェインの過剰摂取は体に負担をかける可能性があるため、飲みすぎには注意が必要です。
塩分を摂りすぎたと感じたときに、適量の緑茶を飲むことでバランスを整えましょう。
3-3コーヒー
コーヒーも緑茶と同様にカフェインを含んでいます。その利尿作用によって、体内の余分な塩分や水分を排出しやすくなります。
特にブラックコーヒーは余分な糖分を含まず、健康的に塩分排出をサポートしてくれるでしょう。
その一方で、カフェインの過剰摂取は脱水を引き起こす可能性があるため、飲みすぎには注意すべきです。
1日1〜2杯程度を目安にすると良いでしょう。
3-4トマトジュース
トマトジュースにはカリウムが豊富に含まれており、ナトリウムの排出を促すのに効果的です。
また、トマトに含まれるリコピンは、抗酸化作用があり、健康維持にも役立ちます。
市販のトマトジュースを選ぶ際は、食塩無添加のものを選ぶとよりよいでしょう。
塩分過多の食事をした後にトマトジュースを飲むことで、体内の塩分バランスを整えることができます。
3-5パイナップルジュース
パイナップルジュースもカリウムを多く含み、余分な塩分の排出を助ける働きがあります。
さらに、パイナップルに含まれる酵素「ブロメライン」には、消化を助ける効果があり、胃腸の負担を軽減するのにも役立ちます。
甘みのあるジュースですが、果糖の摂りすぎを防ぐためにも、砂糖不使用の100%ジュースを選ぶのがおすすめです。食後のデザート代わりに飲むのも良いでしょう。
4.その他、塩分排出に役立つものは?
塩分を摂りすぎたときは、飲み物だけでなく、食事の工夫によっても排出を促すことができます。
特に、カルシウムやカリウムを含む食品を意識的に摂ることで、体内の塩分バランスが整います。
ここでは、塩分の排出を助ける栄養素と摂取方法について紹介します。
4-1カルシウムを食事で摂取する
カルシウムは骨を強くするだけでなく、ナトリウムの吸収を抑え、尿中への排出を促す働きがあります。
そのため、塩分を摂りすぎたときは、カルシウムを含む食品を意識的に摂ることが大切です。
カルシウムが豊富な食品としては、牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品、小魚や海藻、大豆製品(豆腐や納豆)などが挙げられます。
特に、食事の塩分量が多くなりがちな方は、カルシウムを多く含む食品をメニューとして取り入れてみましょう。
4-2カリウムを食事で摂取する
塩分の摂取量を減らす「減塩」とともに、ナトリウムの排出を促す「排塩」を意識することで、より効果的に塩分をコントロールできます。
排塩に効果的なカリウムは、ナトリウムを体外に排出する働きがあり、むくみや高血圧を防ぐことが可能です。
カリウムが豊富な食品には、バナナやアボカド、トマト、ほうれん草、さつまいもといった野菜や果物が挙げられます。
また、大豆製品や海藻類にも含まれているため、日常の食事に取り入れると良いでしょう。
ただし、腎機能が低下している方の場合、カリウムの過剰摂取には注意が必要です。
5.日常生活で塩分摂取をコントロールするポイント

日々の食事において少し工夫をするだけで、無理なく塩分摂取をコントロールすることが可能です。
特に、食事の選び方や調味料の使い方を工夫すると、味を楽しみながら減塩を実践できます。
ここでは、食事の塩分を抑えるための具体的な方法を紹介します。
5-1塩分を摂りすぎない食事選び
外食や加工食品には塩分が多く含まれているため、できるだけ自炊を心がけましょう。
特に、ラーメンや丼もの、漬物、スナック菓子などは塩分が多いため、食べる頻度を減らすのがおすすめです。
また外食の際は、減塩メニューを選ぶ、スープ類の汁を残す、具だくさんの料理を選ぶといったことが重要になります。
加えて、野菜や果物を積極的に摂取することで、カリウムの働きによって塩分の排出を助けることができるでしょう。
5-2調味料を工夫する
調味料の使い方を見直すことで、自然と塩分の摂取量を減らせます。
たとえば、醤油や味噌などの使用量を減らし、出汁やスパイス、ハーブを活用することで、風味を損なわずに減塩が可能です。
また、酢やレモン汁を加えると、酸味が味のアクセントとなり、少ない塩分でも満足感を得られます。
さらに、減塩タイプの調味料を活用するのもひとつの方法です。
日々の食事で減塩を少しずつ意識することで、無理なく塩分コントロールを続けられます。
以下に主な調味料の塩分量をまとめたので、調理の際の参考にしてください。
調味料 | 大さじ1(15mL) | 小さじ1(5mL) |
食塩 | 18.0g | 6.0g |
濃口しょうゆ | 2.6g | 0.9g |
薄口しょうゆ | 2.9g | 1.0g |
めんつゆ(ストレート) | 0.5g | 0.2g |
ウスターソース | 1.5g | 0.5g |
中濃ソース | 1.0g | 0.3g |
トマトケチャップ | 0.6g | 0.2g |
マヨネーズ | 0.3g | 0.1g |
米酢 | 0g | 0g |
コンソメスープの素(顆粒) | 3.5g | 1.2g |
6.外食時の注意点
6-1アルコールや甘い飲み物を控える
アルコールや甘い飲み物の摂取は、塩分コントロールの面で注意が必要です。
アルコールは利尿作用があり、体内の水分バランスを崩しやすいため、結果的に塩分の排出を妨げることがあります。
また、ジュースや炭酸飲料などの甘い飲み物には糖分が多く含まれ、過剰摂取は肥満や高血圧のリスクを高める要因となります。
特に外食時は料理で塩分量が増えがちですので、水やお茶などの塩分排出を助ける飲み物を選び、アルコールや甘い飲み物の摂取は控えめにするのが理想的です。
7.まとめ
塩分を摂りすぎた際は、適切な飲み物や食事でナトリウムの排出を促し、バランスを整えることが大切です。
水やカリウムを含む飲み物を意識的に摂取し、むくみや高血圧を防ぎましょう。
また、日頃から減塩を心がけ、加工食品や外食の塩分量にも注意することが重要です。
健康的な食生活を意識しながら、無理なく塩分コントロールを続けることで、自然と塩分の摂取量を減らすことができます。