日本の水道水は、世界的にも安全性が高いと評価されています。
厳しい水質基準をクリアしており、そのまま飲んでも問題ありません。
しかし、「美味しく感じられない」「含まれる塩素が気になる」と感じる人もいるのではないでしょうか。
本記事では、水道水の安全性や、美味しく飲む方法について解説します。

1.日本の水道水は安全性が高い
日本の水道水は、世界でもトップクラスの安全性と評価されています。
その理由として、水道法により水の安全性が厳しく取り締まられていることが挙げられます。
元である水源から水道水になってからも、さまざまな水の検査が適宜おこなわれており、水道水の安全性を確保する仕組みが出来上がっています。
1-1.日本の水道水は厳しい品質基準で管理されている
世界にはさまざまな水質基準がありますが、特に日本の水道水は、水道法により厳しい基準が定められています。
WHOや米国EPA、EUの水質基準と比較しても、日本の水質基準に関する徹底ぶりは明らかです。
【大腸菌含有量】
日本基準:検出されないこと
WHO・EU基準:100mL中に検出されてはならない
米国EPA基準:5%以下
【水銀含有量】
日本基準:0.0005mg/L
WHO・EU基準:0.001mg/L
米国EPA基準:0.002mg/L(無機水銀として)
1-2.水道水には実はミネラルが含まれている
ミネラルウォーターを飲む方も多いと思いますが、実は水道水の水源はミネラルウォーターと同じです。
水道水もミネラルウォーターと同じく、山の地下水や川の湧水など、自然界の水を水源としています。
つまり、人体に必要なミネラルである、ナトリウム・カルシウム・マグネシウム・カリウム・ケイ素が水道水にも含まれているのです。
2.水道水の塩素が人体に与える影響は?
水道水に含まれる残留塩素を摂取してしまうことで、身体に悪影響を及ぼすことを心配される方もいるかもしれません。
しかし、消毒のために使われる塩素の量はごくわずかであり、摂取しても人体への悪影響はありません。
そのため、水道水をそのまま飲んでも大丈夫なのです。
3.水道水は美味しくない?その理由とは
水道水を飲んで「ミネラルウォーターと比べて美味しくない」と、感じることもあるかもしれません。独特な臭いや味が気になり、水道水が美味しくないと感じる理由は主に4つあります。
3-1. カルキ臭がする
水道水が美味しくない理由のひとつに「カルキ臭がする」というものがあります。
カルキ臭の原因は、殺菌のために使われる塩素です。
塩素と水道の原水に含まれているアンモニア性窒素が反応して生まれる「クロラミン」という物質が、いわゆるカルキ臭の原因です。
しかし、塩素は大切な殺菌成分であり、法律で残留塩素を1リットルあたり0.1㎎以上保持することが定められているため、水道水から塩素を取り除くことはできません。
3-2. 水温が高い
水温が高いと水道水が美味しく感じられないことがあります。
人が美味しく水を飲める温度は10度~15度と言われていますが、夏場など水温が高くなると、生ぬるくカルキ臭もより強く感じることがあります。
また、水源自体の水温上昇により、カビ臭が発生する場合もあります。地球温暖化により、水道水の味にも影響が出ているようです。
3-3. 水道管が古くなっている
水道管の錆びつきにより水がまずく感じられることがあります。
給水管の材質として使われる鋼管などが、劣化し錆びることで独特な匂いを発します。
他にも老朽化した水道管が水漏れし、湿度が上昇することで異臭を放ったり、逆に給水管を新たに布設した場合も、接着剤による臭いや味がつくこともあります。
3-4. 貯水槽が正しく管理されていない
マンションやアパートなどの集合住宅では、貯水槽が備え付けられているのが一般的です。
貯水槽の管理が不十分な場合、カビや藻類が発生して水道水がまずくなる可能性も。
水が生臭い・カビ臭く感じられる場合は、腸水槽が原因である可能性が高いため、管理会社に連絡して貯水槽の状態を確認してもらうことが大切です。
4.水道水を美味しく飲む方法
水道水が美味しくない理由について述べてきましたが、自宅で簡単に水道水を美味しくさせる方法があります。
水道水を沸騰させる・冷やす・汲み置きする・木炭を入れる・レモンを入れる・浄水器や整水器を使うという、全部で6種類の方法をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
4-1.水道水を沸騰させる
水を沸騰させると、塩素臭さの元となる塩素やトリハロメタンという物質を除去することができます。
ヤカンや鍋で沸騰させる場合は、フタを開けておくと塩素が抜けやすくなるのでおすすめです。中には、カルキ抜き機能があるポットもあります。
沸騰させる時間は、10〜30分程度。5分ほどの加熱では、健康被害があるトリハロメタンが逆に増えてしまう可能性があるからです。
ちなみに、沸騰させると塩素が抜けて消毒効果も減少してしまうため、細菌が繁殖しやすくなるリスクもあります。
沸騰させた水は冷蔵庫などで保存して早めに飲み切ることが重要です。
4-2.水道水を冷やす
水道水を冷やすと、美味しく飲むことができます。
冷蔵庫に入れたり、氷を入れて冷やしたりするだけでも、塩素の気になる臭いが減少します。
先ほども述べたように10度~15度程度が、美味しく飲める温度ですが、体温と比較して20〜25℃低い場合が、水の味をおいしく感じるともいわれています。
その場合、体温が36℃の人なら、11〜16℃が適温になります。
4-3.水道水を汲み置きをする
塩素は汲み置きでも抜けていきます。
ピッチャーなどの入れ物に水を入れて、直射日光を避けて1日置くだけで水道水が美味しくなります。
汲み置きの場合でも、塩素が抜けて殺菌作用がなくなるため、早めに飲み切るようにしましょう。
4-4.水道水に木炭を入れる
水道水に備長炭などの木炭を入れると美味しくなります。
木炭は塩素やゴミを吸着する力が強いことから、浄水フィルターのような働きをします。
また、木炭に含まれるマグネシウムやカリウムなどのミネラル分が水の中に溶け出すので、口あたりもまろやかになります。
木炭を水道水に入れる前に、炭の表面についた汚れをしっかり洗い流しておきましょう。洗剤は使用しなくて大丈夫です。
その後、たっぷりの水を入れた鍋を沸かし、10分ほど木炭を煮沸して消毒。水気を切って冷ましてから使います。
木炭は再利用できることも利点のひとつ。1週間ほど使用したら、同じ手順を繰り返してください。交換の目安は1〜2か月くらいです。
4-5.水道水にレモンを入れる
コップ一杯の水道水に対し、1~4滴のレモン汁を入れると、レモンに含まれるビタミンCが水道水に含まれる酸化物質を除去し、すっきりとして飲みやすい味になります。
生のレモンでなくとも、市販のレモン汁でもOKです。手軽においしい水を作ることができるでしょう。
4-6.浄水器・整水器を使う
浄水器や整水器を設置すれば、もっと手軽に美味しく水道水を飲むことができます。
浄水器は、活性炭などの浄水フィルターに通してろ過することで、残留塩素やその他の不純物を除去します。
整水器はろ過した水をさらに電気分解して、水素を含むアルカリ性の水・アルカリイオン水を生成します。
浄水器や整水器を設置するメリットには、水道水の臭いを軽減できる、赤さびなどの不純物をろ過できる、有害物質を少なくできる、などが挙げられます。
また、整水器で生成されたアルカリイオン水には、体のコンディションを良くする効果も期待できます。
設置してしまえば、すぐに水を美味しい水を飲むことができるのでおすすめです。
5.まとめ
水道水の臭いの原因や、美味しく飲む方法について紹介してきました。
水道水の臭いや味が気になって、避けてきたという方達も、今回紹介したポイントを参考に水道水を気軽に飲んでみてください。