日本の水道水には、消毒のために塩素(カルキ)が含まれていますが、その独特のにおいや味が気になるという声も少なくありません。
特に、健康への意識が高い方や、赤ちゃんのミルク作りに水道水を使う場合は、より安心して使える水を選びたいと考えるのではないでしょうか。
本記事では、家庭で簡単にできるカルキ抜きの方法と、それぞれにかかる所要時間をわかりやすく解説します。

1.水道水にカルキが使用される理由は
日本の水道水には、主に「塩素(カルキ)」が消毒目的で使用されています。
れは、細菌やウイルス、有害な微生物を殺菌するための重要な措置であり、安全で衛生的な水を確保するうえで不可欠です。
また、水道法では「蛇口で残留塩素0.1mg/L以上」が義務づけられており、これが日本の水道水がそのまま飲めるほど高い安全性を保っている理由のひとつとなっています。
2.水道水のカルキ抜きが必要な場面
日本の水道水は、そのまま飲んでも衛生上の問題はありません。
しかし、赤ちゃんのミルク作りや観賞魚の飼育、料理の風味を大切にしたい場合などには、塩素(カルキ)を取り除く「カルキ抜き」が推奨されることがあります。
特に、塩素のにおいや刺激に敏感な方や、ペットの健康に配慮したいご家庭では、カルキを除去することで、より安心して水を利用できるようになります。
2-1.飲料水や料理においしい水を使いたいとき
道水に含まれる塩素(カルキ)は、水の安全性を保つために欠かせない成分ですが、その独特のにおいや味が気になることもあります。
お茶やコーヒーをおいしく楽しみたいときや、出汁・煮物など料理の風味を大切にしたい場面では、カルキを取り除いた水を使うことで、素材本来の味や香りがより引き立ちます。
特に、味や香りに敏感な方にとっては、カルキの有無によって口当たりの印象が変わることもあります。ひと手間かけてカルキ抜きをすることで、日々の食卓がより豊かなものになるかもしれません。
2-2.赤ちゃんのミルクを作るとき
赤ちゃんは身体の機能がまだ発達途中であるため、大人にとっては気にならないような微量な成分でも、影響を受けやすいとされています。
水道水に含まれる塩素(カルキ)は、法令に定められた安全基準内の量ですが、赤ちゃんのミルク作りに使用する際には、念のためカルキを除去した水を使うとより安心です。
煮沸や浄水器の利用に加え、赤ちゃん向けにミネラルバランスが調整された専用の水を選ぶことで、授乳時により配慮の行き届いた環境を整えることができます。
2-3.水槽用の水として使用するとき
水道水に含まれる塩素(カルキ)は、人にとっては安全とされていますが、観賞魚や水生生物にとっては有害となる場合があります。
塩素は、魚のエラや皮膚に刺激を与えたり、水槽内の有用なバクテリアに影響を及ぼしたりする可能性があるため、水槽に使用する前には、カルキをしっかりと除去することが大切です。
もっとも一般的で手軽な方法は、観賞魚用の中和剤を使用することです。水道水に数滴加えるだけでカルキを取り除ける製品もあり、初心者にも扱いやすいのが特徴です。
また、バケツなどに水を汲み、直射日光の当たらない場所に24時間以上置いておくことで、自然にカルキを飛ばす方法もあります。
大切な魚たちが健康に過ごせるよう、水質管理の一環としてカルキ抜きは欠かせないステップです。
3.家庭で出来る「水道水のカルキ抜き」5つの方法と所要時間
水道水に含まれるカルキ(塩素)を取り除く方法には、いくつかの選択肢があります。
たとえば、沸騰させる方法、汲み置きして日光に当てる方法、木炭や活性炭を使う方法、市販のカルキ抜き剤を使う方法、そして浄水器を活用する方法などがあります。
それぞれの方法には、所要時間や手間、除去の確実性などに違いがあり、目的や使用シーンに応じた選び方が大切です。
3-1.沸騰させる
沸騰させる方法は、カルキ抜きの中で最も手軽で確実に塩素を除去できる方法のひとつです。
水を沸騰させることで、塩素が蒸発し、カルキが抜けます。目安としては、15Lの水を沸騰させるのに約20〜30分程度かかります。
沸騰後、火を止めて水が冷めるのを待つ時間が必要となるため、カルキ抜きの所要時間は2時間程度です。
特に急いでいない場合に適した方法ですが、早急にカルキ抜きが必要な場合は、他の方法との併用をおすすめします。
3-2.汲み置きして日光に当てる
汲み置きして日光に当てる方法は、自然の力を利用したカルキ抜き法で、手間がかからず手軽におこなえます。
水を清潔な容器に汲み、直射日光に当てることで、塩素が揮発しカルキが抜けます。
15Lの水であれば、夏の晴れた日で2時間〜半日ほどでカルキが抜けるといわれています。
ただし、気温や日照時間によって時間が変動するため、早めに別の容器に移すことをおすすめします。
また、長時間放置すると水質が変化する可能性があるため、翌日までに使用しましょう。
3-3.木炭・活性炭を使う
木炭や活性炭を使う方法は、カルキ抜きとして非常に効果的で、自然由来の素材を使用するため安心して利用できます。
活性炭は、表面積が広く塩素を吸着する力が強いため、水に直接入れておくだけで塩素を取り除くことができます。
木炭も同様に、水に入れて放置することでカルキを除去することができます。
15Lの水に対して、約1〜2時間程度である程度のカルキを抜くことが可能です。
活性炭は市販の浄水器にも使用されるほど効果的ですが、使い過ぎに注意し、定期的に取り換えるなどメンテナンスも忘れずにおこないましょう。
3-4.市販のカルキ抜き剤を使う
市販のカルキ抜き剤を使う方法は、最も手軽で即効性のあるカルキ抜き方法です。
カルキ抜き剤には、塩素を化学的に中和する成分が含まれており、数分で水の塩素を除去できます。
使用する際は、製品の指示に従い、必要な量を水に添加するだけで、迅速にカルキを取り除くことが可能です。
15Lの水に対して、使用後すぐにカルキが抜けるため、所要時間はおおよそ5〜10分程度と非常に短時間で済みます。
忙しいときや急いで水を使いたい場合に便利ですが、使用頻度や残留成分に注意し、必要に応じて水をしっかりと混ぜることが大切です。
3-5.浄水器を使う
浄水器を使う方法は、カルキ抜きだけでなく、幅広いシーンで水質改善を目指したい方におすすめです。
浄水器は、カートリッジに含まれる活性炭やフィルターを通して、塩素を効果的に除去します。
家庭用の浄水器には、蛇口取り付け型やポット型など様々なタイプがあり、使用する水の量や設置場所に応じて選ぶことができます。
浄水器を使う場合、15Lの水であれば、数分〜10分程度でカルキが抜け、同時に水中の不純物や臭いも取り除くことができます。
定期的にフィルターを交換することで、長期的に安定した浄水が可能となり、安心して飲料水や料理に使えるようになります。
浄水器を使えば、手間なく継続的においしい水を提供できるため、特に日常的に水の質を気にされる方は検討してみてください。
4.水道水のカルキ抜きの注意点
カルキ抜きした水には使用期限があります。
一般的に、カルキ抜き後の水は冷蔵庫で保存し、1~2日以内に使い切ることをおすすめします。
長期間保存すると、水質が変化する可能性があるため、余分に作り置きしないよう注意が必要です。
4-1.水の使用期限について
カルキ抜きした水は、塩素による殺菌作用がなくなるため、保存状態によっては雑菌が繁殖しやすくなります。
そのため、常温での長期保存は避け、できるだけ早めに使い切ることが大切です。
冷蔵保存しても、使用期限の目安は1〜2日程度とされています。
特に赤ちゃんのミルク作りやペットへの使用など、より安全性が求められる場面では、作り置きせずその都度カルキを抜いた水を使うのが理想的です。
見た目やにおいに変化がある場合は、使用を控えましょう。
4-2.冷蔵後での保管方法
殺菌効果を失ったカルキ抜きした水は、水中で雑菌が繁殖しやすくなります。
安全に保存するためには、必ずフタ付きの清潔な容器に入れ、冷蔵庫で保管するようにしましょう。
ただし、冷蔵保存していても時間が経つほど衛生面のリスクが高まるため、可能な限り1~2日以内に使い切るのが安心です。
特に赤ちゃんや高齢者など、抵抗力が弱い人が使用する場合は、作り置きせず、必要な分だけ都度用意するのが理想的です。
5.水道水のカルキ抜きについて「よくある質問」
水道水のカルキ抜きにはどれくらい時間がかかるのか、抜け具合をどう確認すればいいのか、またカルキ抜きした水は保存できるのかなど。
こちらの項目では、水道水のカルキ抜きに関してよく寄せられる質問について、わかりやすく解説します。
5-1.カルキ抜きにかかる時間はどれくらい?
カルキ抜きにかかる時間は方法によって異なります。
もっとも手軽な方法のひとつである「汲み置き」では、夏の晴天時であれば直射日光に2時間~半日程度当てると効果があります。
沸騰させる場合は、10~15分間しっかり加熱し、その後冷ます必要があるため、全体で2時間ほど見ておくと良いでしょう。
市販のカルキ抜き剤や浄水器を使えば、数分で処理が完了するため、時間がないときに便利です。
カルキ抜きした水の用途やライフスタイルに応じて最適な方法を選びましょう。
5-2.カルキの抜け具合を確認する方法は?
水道水のカルキがしっかり抜けたかを確認するには、専用の「残留塩素測定試薬」や「試験紙」を使うのが確実です。
これらはアクアショップや通販で手に入れられ、水に含まれる塩素の有無を色の変化で簡単に確認できます。
他のチェック方法としては、カルキ臭と呼ばれる独特のにおいが消えているかどうかを確認するのもひとつの目安ですが、感覚には個人差があるため、正確な判断には試薬の使用がおすすめです。
特に水槽用や赤ちゃん用の水など、安全性が重視される場合には、定期的に塩素の残留を確認する習慣をつけておくと良いでしょう。
5-3.カルキ抜きした水はストックできる?
カルキ抜きした水はストックできますが、塩素の殺菌効果が失われているため、保存には注意が必要です。
常温での長期保存は雑菌の繁殖リスクが高まるため避け、基本的には冷蔵庫で保存しましょう。
清潔な容器に入れて密閉し、なるべく光の当たらない場所で保管しましょう。
保存期間の目安は1~2日程度で、それを過ぎると水質の変化や雑菌の増殖する恐れがあります。
安全のため、特に赤ちゃんやペットに使う場合は、できるだけその都度新しい水を用意するのが理想的です。
作り置きする際は、使用前ににおいや見た目の変化にも注意を払いましょう。
6.まとめ
水道水に含まれるカルキ(塩素)は、安全な水を各家庭に供給するために欠かせませんが、においや味、健康面を気にする方には除去が推奨される場面もあります。
カルキ抜きには、沸騰や汲み置き、木炭・活性炭、市販の薬剤、浄水器などさまざまな方法があり、それぞれにかかる時間やポイントがあります。
赤ちゃん用のミルクや魚用の水槽の水など、特に安全性が求められる場面では、用途に合った適切な方法を選びましょう。
また、カルキ抜きした水の保存には注意が必要で、冷蔵でも1〜2日以内に使い切るのが安心です。
本記事を参考にして、家庭内でできる水道水のカルキ抜きに挑戦してみてください。
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